真っ白な真っ白な誰も入っていない誰の足跡も着いていない真っ白なドッグラン。
スキッパーキサムは勢いよく走る真っ直ぐに黄色いボールを追いかけて、落下した雪のところに顔を突っ込んでボールを探し咥えて意気揚々とまっすぐに戻ってくる。そしてまた同じようにボールを投げたり、アヒルちゃんを投げたりして遊ぶ。
綺麗な雪の上で遊ぶ面白さは格別だ。
誰も踏み入れていない真っ白で平な雪の表面に、最初に踏み入れ足跡をつけていくのはとても楽しい。全部踏みしめてみたい衝動もあったりする。だけど他の人の分も残さないとね。なんてあまりにも素敵な景色に思ってしまう。
サムと遊ぶところは、ほぼボール遊びする一直線上だけ。サムにとっては足跡をつけて遊ぶと言う人間の感覚はない。一緒に楽しく遊べればそれでいいものね。
黄色いアヒルちゃんを投げたあと見失ってしまう事が度々あった。
雪の上に落ちたのをしっかり見ているのだけれど、落下角度と微妙なアヒルちゃんの形が影響するのかふかふかな雪に埋もれてわからなくなる。スキッパーキが見つけられないものを見つけるということはとても難しい。
取りに行くときに足や手で押し込んでしまうのか、あれこんなところに?なんてこともあった。そんな他愛のない雪遊びが出来るなんて予想外で楽しい。
ドッグランにだけではなく、どこもかしこも真っ白な雪で、惹かれるように遊歩道へ行く。
何時もなら木漏れ日が優しく入るところが、眩しいくらいの雪の輝きに覆われている。サムのテンションは相変わらず高く、ウサギのようにピョンピョンと雪の上を走る。積もったばかりの雪の上を上手に走ると言うのか跳ねるように駆けている。そんなサムを見るのははじめてで、雪の程よい深さ、軽さが楽しいのか、踏みしめる感触が面白いのか、今まで見たこともないほど積極的に遊歩道を行くサム。
白い雪の上を黒いスキッパーキが歩いている。雪の上だったら見失う事もない。(木の後ろに隠れたら分からないけど)遊歩道を堪能する。
すると突然サムの動きが止まる。木の根元に何かいるのだろうサムは聞き耳たて動かない。覗き込んで見ても何もないように思える。
一体サムは何を聞いて、何を見ようとしているのだろうか?楽しい雪遊びも、サムは大丈夫だろうが雪があると思わなかったからスニーカーが濡れていて足元が冷たい。まだまだ遊びたいけれど、サム戻るよ。
荷物を持ってドッグランを後にする。
楽しい雪遊び。一番乗りの上等な雪の上贅沢この上ない。