ほんの少し前まで風も冷たく芝は干し草の様な色だったのに、
スキッパーキサムが走り抜けていく足元は緑に変わってきている。
暫くは走り回って遊ぶも、小枝を見つけて、休憩がてらスキッパーキは両脚に抱え小枝を齧り始めた。
スキッパーキサムは小枝が好きだ。
小枝がおもちゃ代わり、咥えて、運んで、齧って遊ぶ。
ボール代わりに投げれば追いかけ取りに行く。紐の代わりに引っ張りっこもする。
引っ張りっこはスリリング、引っ張りっこしていると、枝は折れてどんどん短くなっていく。
折れる度噛み直しをするから、ドキドキする。
サムは注意深く枝を噛むのだろうけれど、間違って手と歯が当たったりしようものなら
ちょっと痛いと思うので、枝が短くなってくるとハラハラさせられる。
自然の遊び道具。
遊びに行った先のドッグランに大きな木があり、その枝が落ちていたりすると
その枝を必ずと言っていいほど咥えては齧って遊んでいる。
散歩の際に枝が落ちていたら、意気揚々と広い持ち運んだりもしていた。
手頃な枝があれば、必ずと言っていいほど楽しそうに咥えていた。
だから毎日の散歩の時には枝がないから咥えないだけで、枝があればどこでも遊ぶものだと
思っていたほどだが、それは大いに間違いだったと気づいた。
スキッパーキサムは日常の散歩で枝が落ちていても見向きもしないのだ。
仔犬の頃は何にでも反応した。感受性が高く、好奇心が強く、何よりも全てが新しく興味があったのだろう。
落ち葉や風で動くもの何にでも反応していた。
その頃には枝には無関心だった。動かなかったからかも知れない。
何にでも興味を示すチビッコ時代が懐かしくなる程今はスルーな散歩だが、
遊びに来る時だけは小枝を楽しそうに見つけては遊ぶ。
スキッパーキサムも日常と遊びに来る日のオンオフがある様だ。
そして、遊びの日はサムにとっても特別だから、小枝を見つけたら、おもちゃ代わりにする様だ。
ドッグランを自由に走るという楽しみもあるだろうが、
小枝で一緒に遊ぶ事ができるということをサムは分かっているらしい。
サムは抱え込む様にして小枝を齧りながら上目遣いで見る。様子を伺っているのだ。
絶対長いと思う枝をもって見せれば、迷わずダッシュで加えながら歩く。それはその後に必ず
引っ張りっこするのが分かっているから。
普通は見向きもしない小枝なのに、お出かけの時には探してしまう小枝。
それはスキッパーキサムと沢山遊べるおでかけの時だけ有効な楽しいアイテムだ。