はい。黄色いアヒルだよ。どうぞ。とは直ぐにスキッパーキサムには渡さない。
サムが見上げても黄色いアヒルの全貌が見える様な見えない様な高い位置で出し惜しみする。
チラッと見せておいての出し惜しみ。
スキッパーキの好奇心をあおる。
何かあると気づいて、頂戴と言っているかのようにロックオンしている。
この一点に集中して今か今かと期待しているキラキラした目、待ち構えて半開きな感じの口。
後ろ手に隠せばすぐ様後ろに回り込む。
ターゲットが少しでも移動するのを逃さないそのキレのある動き。堪らない。
その集中している様がとても可愛いスキッパーキ。
できることならずっとこうやって集中していてほしい。そう願ってしまう。
だがそれは単なるエゴ。分かっているけれど、楽しいからやめられないのだ。
ではそろそろお披露目といきますか?
サムの頭の相当上で、今まで動かしていた為に握っていた手を開きラバーダッキーを手のひらの上にチョコンと乗せた。
スキッパーキの顔は絶対肩凝ってしまうよと思うほ上を向いて楽しそうにしている。
早く何なのかみたい知りたい好奇心旺盛なスキッパーキですから、その場でジャンプして見ようと何度もジャンプする。
そこで素直に渡せばいいものをつい反射的に高く上げて取られないようにしてしまう悲しいサガ。
あきらめないスキッパーキ。より高くジャンプする。流石若いと言うこともあるだろうけど運動能力高い。
とこんな場面で関心してしまう。
ごめんごめんと黄色いアヒルをサムの目の前に出すと、すかさずサムはアヒルの頭を咥えて踵を返し、
誘う様な仕草でアヒルを抱え込む。
サムはおもちゃで一緒に遊ぶのが好きで、必ず罠をかけ遊びに誘うのだ。
今の所サムはアヒルを気に入った様だ。そしてこれからが本番。難関のサプライズがある。
アヒルがないたらサムはどうするのか?
今は辛うじてサムは前脚でアヒルを抱えて頭をペロペロしているから気が付かないが、そのアヒル鳴くんだよ。サム。
新しいおもちゃは新鮮だから楽しいね。でもいつも音がした途端興味がなくなるスキッパーキサムだから、
今回も音がなったらそれまで、そしてそのアヒルは水に浮かぶのだと確信しながら、そろりそろりとサムに近づき
誘っているサムの罠に正面切って入り込み、アヒルを奪い取る。
いつもの事だが、遊ぶ気満々でアヒルにロックオンしているサムの眼の前で、アヒルのお腹を押して音を出して見た。
小さい体の割にガアとアヒルから出る音は大きい。
一瞬サムは予想外の出来事で口を閉じ、じっと音がする方を見て、固まった様に見えた。