休憩してからの道は結構細い。左を見ると踏み外したらズサササーと滑り落ちて行きそうだ。こんな所ですれ違いたくない 。お互い危険を伴うなどと考えながら慎重に足を運ぶが、スキッパーキサムは特に怖がる風もなくいつも通りにテッテクテッテク規則正しく歩いている。
誰かが言っていた。人間は二駆だけど犬は四駆だから違うと。安定とパワーが違いますかね。それと若さ。
細い道でなくなり、何人かの人達とすれ違った。三番目の鳥居が見えてきた。鳥居の手前に屋根のある休憩所があった。後600メートルと道標にあった。600メートル先に奥宮がある。もう少しだ。
鳥居の前に立った。・・・結構傾斜があり、目の前のどどーんと上り坂。今迄とまた感じが違う。鳥居をくぐる度こんなに表情が変わるものなのかと驚かされる。
鳥居の向こうに見える道は両側に木があるが、二番目の鳥居をくぐった時とは全然違う。両側に木はあるが、根っこは出ていないし手の加えられた道だ。でも初めて見る光景なのだ。
今迄は山の側面を歩いてきたけれど、もしかして、この道は、こ、これは尾根?!
初めての尾根歩き。勿論サムも初めて。初めて来た所。初めての尾根。気持ちよく歩けてテンションも上がる。スキッパーキサムとの初だらけ。サムとなら嬉しい事楽しい事も倍だ。
先程の三番目の鳥居からそれ程時間も経っていないし距離も無かったと思うけれど四番目の鳥居が見えてきた。今迄の鳥居と劇的に違うのが奥宮の文字が「赤」で手書き?!だ。しかも鳥居の先の道がまた違う。やはり鳥居をくぐると道が変わる。不思議だ。などと感慨にふけっている時間はごくわずかで、石がゴロゴロしてるし、滑りやすそうだから気を付けて歩くというか上る感じ、上ったら奥宮だと思っていたら、下りに変わる。途端に山の側面を通って行く道に変わり、左側は山、右側は谷と言う感じで、またまた道の表情、山の感じが変わった。しかも少し急な階段で、木でできているのだけれど、ところどころ微妙に板だったものが無かったりして足元を注意しながら気を付けて降りる。サムは大丈夫かな?と思っていると、いつも左側歩行なので、岩肌に沿うように危なげなくしっかりした足運びで階段と土の上を歩いて難なく降りている。本当に頼もしいスキッパーキー。ベストパートナーだね。とホッとしたのもつかの間、又木の上り階段、これが枕木はあるけれど、板が朽ちてしまってなかったり、脆くなっていたりで何とも足元から下が見えたりするところもあり、ちょっと怖い。大したことは無いのだけれど、高い、足元危ない、もし落ちたら等と思ってしまうから恐怖を感じてしまう。だけどサムはそんな文句も言わず、危なげなく階段を登っていく。やるねー。何時もながらスキッパーキ凄いね。
そして木の根と石と、荒れたような道を上っていくと、石の階段だ。これを登れば奥宮だ!ってこの階段結構急で最初の方は一段の高さが高い。手すりがあるから安心しながら階段を登っていくと、鎖が見えてきた。そう言えば来る途中に、「階段・クサリ場は足元に注意しましょう」と立て札があった。これが、クサリ場。何故クサリ・・・。あ。上の方が階段では無い。元は階段で崩れてしまったのか、元々なのか分からないが、鎖が撃ち込まれて垂れている。階段が無いからこれを使って登るのだ。
此処にきてサムと一緒にどうやって行こうかと考える事になるとは思わなかった。
サムの事だから自力で登る事は出来るかもしれない。しかし、万が一足を滑らせたら、踏み外して落ちてしまったら、怪我したら、怪我だけじゃすまなく谷に落ちたら大変だと妄想してしまうものだから、サムに何かあってはいけないと親バカ犬バカ全開になる。