タクシーに乗せてもらう完全包装のサム

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タクシーに乗せてもらう完全包装のサム

離れがたく置いていかねばならないスキッパーキサムとの別れを惜しんでいた所に、優し気な運転手さんの問いかけ。泣きたくなる。本当にサムはいい子で大人しい。文句言わないし、(当たり前だが)疲れているだろうし、お腹もすいただろうし、いろいろ不満だってあるだろう。だがずっと傍にいて、円らな瞳で見てくれて勇気をくれたのだ。
そのサムを、傍にいてくれたサムを、今まさにこの場に置いて行かねばならない。
このような事態が起こるとは一度も考えた事もない。サムをサムを置き去りにする何て事あり得ない「非常事態」になってしまった。

ほんの少し1時間程度行って帰ってくるだけ。それだけだが、不安で心配でならない。
スキッパーキだろうが、なんだろうが関係ない。置いて行くこと。その行為をせねばならない状況に憤りを覚えた。

そんな葛藤をして、なかなかタクシーに乗り込まずサムといたからだろうか、運転手さんが見かねるほど憔悴しきっていたのかもしれないが・・・
本当はいけないのだけれど・・・。私も犬好きだからと言葉を更にかけてくれ、そして、次の瞬間、ミラクルが起こった!。目の前の運転手さんに後光が射したのだ。
しっかり包み込むことができるならコッソリ載せても…
本当ですか?!包みます!包みます!ありがとうございます!と。どうしよう。どうしようとサムどうしようと、何とも情けない寂しい気持ちから、サムと離れずに済む喜びに一瞬にして変わった。
ほんの少し前までのぐずぐずとした状況から、シャキッとしてきびきびと行動に移す。気持ちがポジティブになると体も軽く動き出すことができる。

サッサと上着を脱いで、サムをしっかり包んだ。ほぼおくるみ状態。いや顔さえも出さないラッピング完了状態だ。流石に呼吸があるので何とか顔が見える様にして、毛が落ちない様、ガッツリ包んだ。本来ダメなのにご厚意で内緒で乗せてもらうのだ。万が一でも犬が乗っていた形跡を残すわけにはいかない。サムには可哀そうだが、ここは細心の注意を払い。毛の一本たりとて残すわけにはいかないのだ。
サムは状況を分かっているのか、大人しく騒がず、されるがままに包まれていた。

スキッパーキ完全包装。

後部座席に滑り込み見事なまでに包まれたサムを膝の上で抱いていた。車が動き出し駐車場までの初タクシーの旅が始まった。

少し来たところでサムがもがき始めた。当たり前だ、暑い。何もしなく外にいるだけで暑いのに、スキッパーキのサムは完全包装。風さえ当たらない。ダメ、サム。お願いだから大人しくしてて。お願い!
サムに呟く様に運転手さんに聞こえない様に目を見てお願いした。
円らな瞳でじっと見ているサム。暫し見つめ合う。サムに気持ちが通じて欲しい。祈る様に気持ちが届くように見つめていると。分かった。といえようにサムが大人しくなる。

暑かろうサム。ごめんね。包まれている体は空気の逃げ場がない。その上抱きかかえている。まだまだ若いとは言えスキッパーキ。ダブル被毛。いくら陽気はいいとは言え今の状態が良いわけがない。暑くて暑くて仕方ないから抜け出したくてもがいた。
わかる。分かるけど、サム今サムが、もし、もがいて懐から出ちゃったら、運転手さんに迷惑かかるし、降ろされちゃう。だから我慢して。心でサムに語る。暑さとの戦い。スキッパーキサムは喘ぐ。可愛そうなぐらいハアハア喘いでいる。運転手さんは、気を使ってくれて、色々な話をして下さる。

ここは珍しいツツジが咲く所だとか。御用邸の事とか、他、本当は凄く興味がある事なのですが、いかんせんこんな状況なのでサムが気になり気もそぞろ。すみません。
じっとしてハアハアし続けているスキッパーキサム。もう少し、もう少しの我慢だからね。

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