興味はあったけれど、食事のスタンダード設定がなく、自分でチョイスした食事によって宿泊料金が変わるシステムの宿があった。
メインのチョイスだけならばいいのだけれど、すべて細かくチョイスしなければならず、よくあるコース設定メニューからの選択ではなく、自分で組み立てるというありすぎる選択肢に一度は挑戦し、頑張ろうと思っていたが、途中でギブアップしてしまった。
レストランでメニューを見て、単品で前菜からデザートまで自分で選んで注文するのと同じなのだが、ネット予約時点で、宿の事を何も知らない状態では文字だけでは想像力があまり働かなかった事もあり、その時は縁を繋ぐことはなかった。
宿に泊まる醍醐味の一番と言ってもいいぐらい食事のウエイトは大きい。
上げ膳据え膳で、非日常の贅沢な時間を過ごせるのだからこそ、出でだされる食事に期待し、何が出るのかワクワクして待つ時間が楽しかったりする。
訪ねてみたい宿の方向性を変えたので、ふとそのような事が何年も前にあったなと思い浮かび、今はどうなっているのだろうと好奇心が湧き上がり、その宿のホームページを久しぶりに覗いてみたら、内容が大幅に変わっていて一般的なプラン設定になっていて、オプションとして食事の変更、追加メニューがある選択だった。
随分と変わったのに驚いていたのだが、どうやら運営会社が変わった事でシンプルになったようだ。
それなので、頭を悩ます食事チョイスが無いのならば、訪れようと思い決めた所だ。
そんな事もあったな等と考えながら向かう道すがら、スキッパーキに目を向ければ、記憶しているのだろうか外を食い入るように見ている。
不思議と始めて行く所の道を通る時は必ずサムは確認するかのように窓の外を見ている。
初めてはいつでもドキドキわくわく期待しないようにしても期待してしまいテンションが上っているのをサムは敏感に察知して、情報収集しているとしか思えないサムの行動が嬉しい。
駐車場に入った時、なんとなく思い描いているホテルとは違うな気がしたのだが、その違和感が何なのか玄関を入ってわかった。
スリッパに履き替え、靴は下駄箱へ入れる。スリッパが用意されているという点はホテルというよりも懐かしい旅館のよう。
部屋は洋室をチョイスしていたので、和室を選んでいればそれこそ旅館だと思えたのかもしれない。
部屋のドアを開けると予想外の広さと犬用備品の充実差が目に飛び込んできた。
大型犬用のゲージの上に置かれていた備品のその中にスプーンがあるのを見つけた。
単なるスプーン。されど犬用。今までスプーンを備品として置いてある宿は無かった。
スキッパーキの食事はその時その時で持ってくるものが変わるけれど、必ずレンジで温め、細かくしたりするものがあるので、カトラリーを一緒に持ってくるので、あるということだけで、単純に嬉しくなった。
すぐに暗くなってしまうので明るいうちに周辺探索しようと部屋をでた。
初めて歩くところはいつも新鮮で楽しい。
サムもいつもながら元気よく歩みをすすめる。
坂道と林と代り映えしない静かな景色の中で、自分たちの歩く足音だけが響いている。
意外と車も人もいないのは季節外れだからだろうか。
のんびりと散歩をして宿のドッグランを見に行く。
ドッグランは外に2つ室内に一つ。ドッグランではないが裏の出入り口に喫煙所を兼ねたフリースペースがあるなど予想以上に充実している。
大きい方のドッグランは入り口が奥まったところにあり、入り口を入ると野趣あふれる階段がありドッグランは見えない。
山道を歩く感じの階段を降り小道を少し歩くと自然を楽しめるドッグランがあった。
ホテルのドッグランとしては結構めずらしいのではないのかなと思う作りだが、サムと遊ぶにはそんなこと関係なく軽く楽しみ、宿の出入り口近くにあるドッグランへ足を伸ばす。
こちらは普通のドッグランだが、道路に面しているので、道路から丸見えのこれもまたちょっと珍しい。
あまりないタイプのドッグランだけど、ドッグランはドッグラン他にワンコがいない貸し切りでサムと外の探索を終え今度はホテル内の探索に切り替える。
スキッパーキは好奇心旺盛で何よりも付き合いがいい。
それなのでどこに行くのにも楽しそうに付き合ってくれるので余計に楽しくなる。
階段をサッサと上りキラキラした目で何処に行くのか見つめてくる。
何が何処にあるのかワクワクするね。
ここは今まで思っていたイメージとかなりいい意味でかけ離れているので探究心がくすぐられる。