社会性を付ける為と引っ張りを直してもらう為、スキッパーキのサムを預けようと考え、預ける日を少し先で予約した。
サムを預けることを悩まなかったわけではない。
”預ける”という、思いもしなかった事、これまで一度足りとて考えたこともないことだ。
社会性が心配だと言われなかったら、こんなに揺れなかった。
全てはサムの為に、スキッパーキのサムの為に。仔犬の時に一番必要な社会性をつける為と、呪文の様に己に言い聞かせた。
まだまだあどけないパピーのスキッパーキ、サム。
甘噛みするし、引っ張るし、わんぱくなチビスキッパーキのサム。
預けると思ったら、急激に寂しい気持ちが膨らんできた。
サムを見ていると、ものすごく愛しい。
知らず知らず一緒に居る事で、いなくてはならない大切な家族になっていた。
痛い思いもする。頭にきたりする事もある。だけど可愛い。愛おしい。
預ける期間は1ヶ月間の予定で、引っ張りや甘噛みがなくなるのなら、社会性がつくなら・・・、
これから長く一生を共にする事を考えれば、ほんの僅かな時間だ。ちょっと離れるだけ、そう思った。
それでも寂しいと思う気持ちが日を重ねる程強くなる。
まっ黒い小さなスキッパーキのサム。
まだ仔犬じゃないか!仔犬だから・・・可愛いし、悩む。
サムが我が家に来た当初、ビデオを撮っていた。それを改めて観た。サムが居なくなったら、恋しくなるから、その時に見ようと思ったのだが、ふと、どんなだったかちょっと観てみようと思ってしまったのだ。
映し出された映像には、余りにも無邪気なサムがいる。こんなだったのかとビデオに見入った。そんなことあった。あんな事した。ほんの少し前のサムのぽよぽよ姿。ふっかふかのぬいぐるみみたいな姿。
ビデオの中のサムから目の前にいるサムに目を移す。
サムを見ると、あどけない、無垢なつぶらな瞳で見返してくる。
泣きたいような感情が高まってくる。
今じゃなくていいじゃないか。まだ先でも。今は離れたくない!と強く思った。
ちっちゃなスキッパーキのサム。離したくない。離れない。
預ける予定の二、三日前に今回は見送ると連絡した。
連絡した後、物凄くホッとした。嬉しかった。
今は一緒がいい。こんな気持ちで別れたら、後悔するに決まっている。
そう思ったその選択は間違い無かった。