スキッパーキサムの言わんことが分かった。
「と・り・な・し・て!」だ。
普段とは全く違うサムの行動は、堪らなく愛されてる?と思えるほどの小さな体全体で表していた。
玄関ではジャンプせんばかり何をそんなにまとわりつくのかぐらい尻尾をブリンブリン振り、スリスリを激しくする。今までこんな事をしたことがなかっただけに、つい嬉しさで顔がニヤけた。
歩きだせば顔を見つめ足にくっ付いての脚側歩行。何をするにも離れないのだ。
この歓迎ぶりは異常だと冷静に考えればわかる。
そして、どのような状況か理解した。
サムやっちゃったな?
ご飯食べないから、相手されないなサム?
それがこたえていて、何とか取り繕ってほしい訳だ?許してほしいと?
流石スキッパーキだな考えている。そして思う。調子いいと。
普段こんなに激しく離れず可愛いわけではない。とりなして欲しいから、今の状況が耐えられないから必死なのだ。
調子いいよサム。
調子いいけど本当に真っ直ぐだ。真っ直ぐなところが愛らしいと思ってしまう。
パック、ファミリーの中で孤立してしまってはどうしようもない。しかも大好きな信頼者に口も聞いてもらえない状況はかなりまずい。
こんなに傍に離れないスキッパーキサムは初めてで、もの凄く可愛い。ずっとこのままで良いと思うぐらいくっついて気にしている。
その過剰なまでの対応に可愛そうになり「とりなす」。
サムに対して、手が差し伸べられるとサムは直ぐ様反応し懐に飛び込んでいく。
今までの緊張が溶けて、安心した様だ。
相当に無視されたことがきいたらしい。共に生活しているといろいろある。正直サムとの「フードファイト」もだいぶ軽減されたが、あっさりガッツリバクバク食べるという事が無いので、お互いストレスだ。毎回毎回、毎日毎日、365日「食べるかな?」と思いながらの食事の時間だ。
それでも、手を変え品を変えでサムに食べてほしい思いでフードファイトを続けている。これなら食べるだろうと思ったモノも口にしない事もある。
スキッパーキサムが好きだから、体のことを考えるからのフードファイトもかなりの労力を使う。
心身共に元気であれば流せることも、疲れていると更に疲れてファイトする気力もなくなる。
そんな時にサムが地雷を踏む。「食べない」をしたのだ。だからもう戦う気力もなくなり相手もできない。相手しないと無視された状態になり、サムがどうしようと困った状態になったのが、とりなしての原因だ。
もとに戻った状況に、さっきまでのベタベタスキッパーキはもういない。
何時ものサムが遊ぼうと待っている。